アカコの備忘録。


by sarutasensei
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f0091834_16145620.jpg●林文代編『英米小説の読み方・楽しみ方』(岩波書店)

 5人の英米文学研究者が、東大駒場で行った講義をもとにまとめたもの。ふ~ん、やっぱ東大ってレベルの高い授業をしてんのね。

 丹治愛が『ハワーズ・エンド』を文化研究的読解で分析した第7章と、自らのそうした読みへの「不満」を提示し、新たな切り口を実践した第8章がとりわけおもしろかった。この人のドラキュラ論は、1年生向けの授業で毎年必ず言及するのだけれど、今回も期待を裏切らないシャープな論を展開している。

 第8章では、これまでの「文化研究的読解への不満」を解決すべく、次のように述べているところが新しいのかしらん。
 文化のなかで拮抗して存在している複数のイデオロギーを、テクストが生み出される歴史的コンテクストとして文化研究的に記述し、その一方で、その歴史的コンテクストのなかの複数のイデオロギーのあいだで倫理的に選択しながら、あるいは選択すべく交渉をしながらテクストを織りあげていく作者の主体を人間主義的にえがきだす文学研究の可能性-そういったことをこころみてみたいと思います。(p.137)
 実際に「作者の主体」を読み解いていく作業の醍醐味は、本文を読んでのお楽しみ。
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by sarutasensei | 2009-04-12 16:23 | 読んだ本

空腹。

f0091834_23164530.jpg●村松友視『幸田文のマッチ箱』(河出文庫)

※昨日も休んだせいか、なんだか日曜日みたいな気がする土曜日。一日中お腹を空かしていた。
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by sarutasensei | 2009-03-21 23:22 | 読んだ本

絶賛。

f0091834_22153520.jpg●大木康『中国明末のメディア革命-庶民が本を読む』(刀水書房)

※おもしろいっす、この本。
 鮮やかなメディア論的切り口は、『明末のはぐれ知識人』(講談社選書メチエ)以来、この著者の魅力だけど、今回の本でアカコがいちばんおもしろかったのは、「線装の成立」の部分と「明朝体」の登場を論じた箇所。

 宋代の版本では、版木を彫る職人(「刻工」)の名前が記されているのに対して、明版ではそうした事例は少なくなっている。それは明代になると、版木制作を高速化するために(それはもちろん明末の書物需要の広がりが背景にある)、ひとりの刻工が一文字ずつ彫るという従来のスタイルではなく、文字の縦方向を彫る職人と横方向を彫る職人の分業体制が成立したためなのだという。

 横画と立画をできるだけ直交させるようにした「明朝体」とは、新たに登場した分業体制にふさわしい字形なんだって。
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by sarutasensei | 2009-03-12 22:41 | 読んだ本

本をいただく。

※入試、しんどかった~。ここんとこ、本を読むような時間、まったく取れず。

 昨日のキョウジュカイの後に、心に決めたことが2つ。子どもっぽいと思われるだろうが、断然実行する。
 あ、といってもぜんぜん過激なことではありませんよ。むしろ、とっても礼儀正しいことを、ずうっとやり続けようってだけの話。もうひとつは、ある意味で「リハビリ」ですね。

 乾杯! 今度逢った時にはもっと狂暴でありますように
 これも、2月28日の歌だったのだな。

 池上貞子さん・三木直大さんから詩集の翻訳をいただく。
●池上貞子編訳『契丹のバラ-席慕蓉詩集』(思潮社)
●三木直大編訳『乱-向陽詩集』(思潮社)
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by sarutasensei | 2009-02-28 21:45 | 筆記

くたびれた。

f0091834_23345677.jpg●佐多稲子『夏の栞-中野重治をおくる』(新潮文庫)

※明け方、暑くて寝苦しいと思ったら、最低気温が22℃を超えていたのね。最高気温は25.1℃、2月中旬にして、早くも夏日とは…。
 佐多稲子の文庫を20年ぶりに再読。次は中野を読もうか、佐多の小説にしようか、はたまた買いっぱなしになっている寺島珠雄の大作『南天堂』にしようか、と贅沢な悩みを悩む。

 午後、板垣雄三の話を聞くために沖縄大学へ。1931年生まれだというから80歳近いというのに、声にはりがあるし、何よりも話が明晰。モンガイカンのアカコにもとてもよく分かる講演会だった。
 配布されたレジュメの、「欧米の反ユダヤ主義の「償い」の責任をパレスチナ人に背負わせて、人間の尊厳の回復のためにたたかうパレスチナ人の闘いとそれに連帯する運動とに「反ユダヤ主義」のレッテルを貼って非難する」という一節が印象的。

 質疑応答の時間を入れると3時間半も堅い椅子に座っていたことになる。出がけに不味いカレーマンを2つ食べただけでお腹もすいてきたので、最近よく行く軽食屋で夕食をとり、その後、自宅近くの本屋で買い物。
●鳥山淳編『沖縄・問いを立てる 5 イモとハダシ-占領と現在」』(社会評論社)
●半藤一利『それからの海舟』(ちくま文庫)
 『沖縄・問いを立てる』はこれで全巻完結。全6巻のうち、まだ2冊しか読んでない。春休みにはなんとかしないと。

 家に着いたら、amazonとampで1冊ずつ。
●洪潔清『どうしてそうなる?中国語』(白帝社)
●中村和恵『降ります-さよならオンナの宿題』(平凡社)
 中村和恵は、みすずの新刊『ドラゴンは踊れない』の翻訳者。昔、『早稲田文学』に連載していた「帝国を飼いならせ」を読んで、ファンになった。彩流社から出版された『キミハドコニイルノ』は読んでいたけど、2001年に平凡社からエッセイ集が出ていたのはウカツにも知らなんだ。それにしてもampでの購入金額が1円というのは、なんだか申し訳ないような。
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by sarutasensei | 2009-02-14 21:49 | 読んだ本
f0091834_21323065.jpg●ノーマ・フィールド『小林多喜二-21世紀にどう読むか』(岩波新書)

※小樽時代の小林一家の隣に住んでいた布川初子の回想から始まる「プロローグ」がとってもいい。彼女の晩年の「蝿一匹も殺せない多喜二兄さんにあんなことをした人は、どうにもならないんですか」という言葉が印象的(p.6)。「あんなことをした人」とは、もちろん多喜二を虐殺した築地警察署の警官たちのこと。「警視庁特高ナップ係の中川成美やその部下」(p.239)たちは、どのような戦後を送ったんだろう。

 新書を読み終わった後、佐多稲子の中野重治論を読みたくなって、『夏の栞』を本棚から探して久しぶりに再読。佐多稲子も多喜二の遺体を目にしたひとりだった。

※TUTAYAで借りた侯孝賢の新作をようやく鑑賞。アジア映画のコーナーを探していたので、なかなか見つからなかった。
f0091834_2147119.jpg●『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』

 DVDを返しに行って、文庫本を1冊購入。
●坪内祐三『考える人』(新潮文庫)

※中野重治や武田百合子、長谷川四郎などについて論じたもの。それにしても同じ新潮文庫というものの、『夏の栞』とは字の大きさがぜんぜん違う。こんなに大きな活字だと、なんだかソンをしたような気がするのは、アカコがよっぽど「小气」なせいだろうかね。
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by sarutasensei | 2009-02-13 21:56 | 筆記

南部へ。

f0091834_2347253.jpg●ジョン・トーピー『パスポートの発明-監視・シティズンシップ・国家』(法政大学出版局)

※次に書く予定の台湾探偵小説論のために読んだ一冊。論じているのはヨーロッパとアメリカの事例なのだけど、教えられることが多い本だった。


 国民国家、すなわち相互に排他的な国民集団として定義された特定の「人民」からなり、またその人民のために存在する国家としての近代国家は、一般的にその人民の掌握にきわめて熱心であり、また、そうしたいと望んだ場合には、国境内および国境を越えた人びとの移動の規制に熱心に取り組んだ。この規制を実施しようとして、近代国家は、自らの国民であるかどうかに関わらず、個々の人間の身元を明確に確認する手段を創設する方向に進んだ。合法的な移動の手段を独占するために、国家と国家系には、誰が所属し、誰が所属しないのか、誰の往来を許し、誰の往来を許さないかを決定する必要が生まれ、さらにこれらの区別を明瞭にし、区分を可能にする必要も生じた。パスポートや身分証明書などの書類は、これらの目的を達成するのに不可欠であった。アイデンティティに関する定義やカテゴリーを単に公表するだけではなく、国家はこの区別を実行しなければならない。そして、個々人に対してこれを具体的に実行するためには、書類が必要になるのである。(pp.22-23)
 だからこそ「書類」の偽造は、ごく当たり前の現象だった。フランス革命の直後に、多数のパスポートが偽造されたために、「パスポートはすぐ10フランまで値下がりを起こし、ほとんど誰でも入手できるようになった」という。
 詐欺と捏造が、国家によるこの種の書類の義務化に対する、多かれ少なかれ自然な反応であるというのは自明のことである。(p.79)
 つまり書類の偽造によって、国家によって当てがわれたものとはまったく別のアイデンティティを獲得することができたというわけ。偽物、バンザイ!

 著者が別のところで書いているように、「近年の学術文献においては、あまりに頻繁に、アイデンティティが純粋に主観的なものとして議論され、法律や政策によってアイデンティティがどのように固定化されるのかについては考慮しない傾向がある(p.21)」というのは、台湾文学研究にもあてはまると思う。「皇民文学」をアイデンティティという切り口で論じるとかね。アカコもそうした論文を書いた「前科」があるのだけれども、そういうのにはもう飽きたので。

※南部まで足を伸ばし、野菜やら島らっきょうやらパパイヤやらを買い込む。松山で食べた大阪のいか焼きが激うま。また今度も寄ってみよう。途中の本屋で2冊購入。
●イ・ヨンスク『「ことば」という幻影-近代日本の言語イデオロギー』(明石書店)
●武田泰淳『タデ食う虫と作家の眼-武田泰淳の映画バラエティ・ブック』(清流出版)
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by sarutasensei | 2009-02-11 20:20 | 読んだ本

完成。

※〆切当日。午後3時から仲程昌徳先生の最終講義を聞く。先生の講義は、ここに赴任した直後に、大学院の授業を聴講させてもらったとき以来。

 懇親会には参加せず、研究室に戻って論文の仕上げ。ようやく「ラジオと「蕃地」」が完成。これは3月中旬に大阪市大で開かれるシンポのためのもの。今回の論文を書くために読んだ資料で、もう一本、別のものが書けそう。
 それにしてもこの2週間は、メッチャ忙しかった。睡眠不足でもうふらふらです。1週間ぐらい休んだら、3月末が〆切の探偵小説論に取りかからなくては。
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by sarutasensei | 2009-01-31 20:47 | 筆記

あと2日。

※残されたのは金・土の2日間のみ。なのに、明日、緊急の委員会が入る。この問題に対する学内の対応を話し合うので、ぜったいにはずすわけにはいかない。

 論文の結末で、1941年の「内本鹿事件」を使うことを思いつく。4年前に書いた論文でも、ほんの少し言及したことがある事件。この論文のこと、すっかり忘れていたけど、これでなんとか終わりが見えてきた。
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by sarutasensei | 2009-01-29 23:12 | 筆記

買っちゃった~。

f0091834_205258100.jpg●エルンスト・ブロッホ『この時代の遺産』(水声社)

※前から欲しかった本、とうとう買っちゃった~。池田浩士の翻訳だし、「訳文を全面的に再検討し、大幅に註を増補した決定版」とくれば、これはもう。
 
 しばらく長引きそうな探偵小説論をもう一度仕切り直しするために、この春休みにじっくり読みたい一冊。
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by sarutasensei | 2009-01-26 20:52 | 買った本