植民地に生まれた人間の不幸を忘れたいために…。
2007年 10月 04日
●田村志津枝『李香蘭の恋人-キネマと戦争』(筑摩書房)
※昨日の夜から一気読み。専門書ってわけじゃないけど、いろんな方向に展開できそうなネタのつまった、とっても刺激的な一冊。
タイトルにある「李香蘭の恋人」って、1940年に上海で暗殺された台湾人、劉吶鴎のこと。彼が松崎啓次に語ったという、こんな言葉が印象的だ。
劉吶鴎のほかに、穆時英・張資平・王白淵・江文也・呂赫若・林献堂など、錚々たる人物が登場するこの本、オススメです。
※昨日の夜から一気読み。専門書ってわけじゃないけど、いろんな方向に展開できそうなネタのつまった、とっても刺激的な一冊。
タイトルにある「李香蘭の恋人」って、1940年に上海で暗殺された台湾人、劉吶鴎のこと。彼が松崎啓次に語ったという、こんな言葉が印象的だ。
僕は台湾人だ。が、台湾や日本で育った幼少の頃をのぞいて、ずっとこの上海に住んでいる。僕は日本人に逢って、話のなかで、台湾に生まれたと言うと、必ず浮かぶある種の軽蔑を感じる。(p.163)
僕はいつか君に話そうと思っていた。僕は植民地に生まれた人間の不幸を忘れたいために、この国に来てこの国の文化運動に参加した。考えようによっては、僕を蒋介石側から日本に送られたスパイだという人も、いるかもしれない。しかし僕は、決して日本のスパイでも支那のスパイでもない。(p.190)
劉吶鴎のほかに、穆時英・張資平・王白淵・江文也・呂赫若・林献堂など、錚々たる人物が登場するこの本、オススメです。
by sarutasensei
| 2007-10-04 19:42
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