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アカコの備忘録。


by sarutasensei
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滅びる前に?

 おとついの卒論発表会、翌日ほぼ寝たきりになるぐらい疲れたんだけど、いまだに釈然としない気持ちが、わだかまったまま。
 そう、○○方言学研究室のゼミ生が、みんながみんな「△△地域(「△△」には、任意の地名が入る)の方言が滅びようとしていて、その前に記録しておく必要性、云々」って言ったことが、引っかかっているんだな。で、学生たちは、現在70歳から80歳のインフォーマントから、聞き取り調査をやるのだそうな。

 そもそもある言葉が「滅びる」ってことが、アカコにはピンとこない。だって、今、滅びようとしている、って見なされている「△△地域の方言」にしたって、まさか古来からずっと変わらず保持されていたわけでは、ないはずだろうから。

 たとえばの話。300年前に「△△地域」で暮らしていたヒトが、ある日突然蘇ったとする(たとえにしても、非現実的だけど、まあ、それはおいといて)。
 そのヒト、滅びつつある「△△地域の方言」の「保持者」とされる現在80歳のインフォーマントと、「△△地域の方言」で会話が可能だろうか?アカコは、無理だというのに一票入れるね。だって300年前の「△△地域の方言」なんか、とっくに「滅び」てしまってるんだろうから。

 もちろん300年前の話者の言葉が、「真性」の「△△地域の方言」ってわけじゃあない。
 もし、500年前の話者が、ある日墓場から蘇ったとしても、やっぱり300年前の話者とは会話が成り立たないだろうし、同じように自分たちの言葉が「滅び」たって、思うんだろうし。

 つまり「△△方言」っていうのは、何百年も前から「滅び」続けて現在に至った、はず。言葉は使う人がいて、つまり「生きて」いるからこそ、「滅び」続ける。

 だとすれば、現在70歳から80歳のインフォーマントが話す言葉だけを、「滅び」つつある「△△地域の方言」と特権化するのは、おかしなことだ。

 今にも方言が「滅び」そうだと危機感を煽るのは、学生になんらかの「使命感」を抱かせるには有効かもしれない。だけど、やっぱヘンかなあと、アカコは思うけど、どんなもんでしょ?
by sarutasensei | 2007-05-14 23:48 | 筆記