思った通り。
2006年 07月 19日

※『彷書月刊』に連載中の「紙屑のモダニズム」を再構成してまとめたもの。へ~、と引き込まれてしまうようなネタもたくさんある。たとえば「流線型」という言葉の使われ方などは、とてもおもしろかった。次のような切り口も。
モダニズムの精神は著名な画家や小説家の作品に宿っただけではない。モダニズムの風俗は、東京や大阪の歓楽街に営業したカフェ、丸の内や御堂筋のビジネスセンターにだけ、立ち現れたものでもない。ささやかな印刷物の隅々にいたるまで、また地方都市や農村での日常生活にまでも、モダニズムの精神と生活文化は浸透しはじめていた。(p.273)でも、日常生活にまで隅々にまで浸透したはずのモダニズムが、誰を排除し、誰に特権的に受容されていたのかは、まったく論じられない。まあ予想通りではあったけども。このあたりが橋爪と、吉見俊哉との決定的な違いなんだな、きっと。この夏の論文で使えるかもしれない、という思惑/期待は、完全にはずれた。
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by sarutasensei
| 2006-07-19 22:38
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