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アカコの備忘録。


by sarutasensei
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無題。

 土日は基本的に家でごろごろ。昨日は年休を取り、甲府に遊びに行ってきた。立川から特急で一時間あまり。天気も良く、久しぶりに観光旅行を満喫した。

 少しずつ読んでいる『台湾新文学史』、誤植があるのは仕方がないとして、こういう記述は大いに疑問。以下は楊逵の抵抗意識を述べた箇所。
其中〈萌芽〉這篇小說完成於一九四三年太平洋戰爭期間,更是典型地顯露了楊逵的批判立場。(中略)就政治上來說,〈萌芽〉發表於皇民化運動臻於高峰的年代,小說的抗拒態度躍然紙上。小說中的女性,在書信裡在獄中的丈夫表示:「台灣的文學界,最近墮落了,有許多真實地擎著日本侵略主義的提燈在露頭角。」他的小說,既撻伐日本軍國主義,也批判台灣知識分子:那種堅定的語氣,足以睥睨他的時代。
 (p.133)
 
 「萌芽」という小説は、1942年11月の『台湾芸術』に掲載されたもの。作品を収めた『楊逵全集』第5巻によれば、該当箇所の女性のセリフはおそらく「台湾では、今、戯曲がひつぱり凧で、粗製濫造されてゐます。十月十三日からありきたりのものは上演まかりならぬと言ふ御達しが出てゐます」(p.432)だろう。陳芳明老師が使用したのは、1949年1月13日に『新生報』に訳載されたテクスト。これも『楊逵全集』に収録されているけれども、短い引用部分からも分かるように両者は大きく異なっている。少なくとも「日本侵略主義」などという言い回しは、『台湾芸術』版には見当たらない。

 戦後、楊逵が戦時中の作品に大きく手を入れたことはよく知られている。もともとの「萌芽」では、主人公の夫は「獄中」にいるのではなく、体を壊して療養中という設定。1942年のテクストからは、「小說的抗拒態度躍然紙上」という評価は導けないと思う。
by sarutasensei | 2011-11-15 23:08 | 筆記