人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アカコの備忘録。


by sarutasensei
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

モダンガール。

 吉見俊哉とテッサ・モーリス-スズキの『天皇とアメリカ』(集英社新書)を読んでたら、吉見のこんな発言が目にとまった。
 昭和初期の日本でアメリカニズムの代表選手はモダンガールでしょう。つまり、日本が天皇と軍隊の結びつきを中軸に帝国としての男性的なナショナル・イメージを拡張させていた時代、消費文化と結びついたアメリカは、ナショナルな男性性を侵犯する女性性のイメージを帯びていたと思います。
 実のところ、国際関係上の想像上の関係におけるこの男性性と女性性の布置はかなり重層的で、明治初めの日本では、ヨーロッパ的な男性性を目指して天皇の男性化が推進され、これは国家の軍事化と表裏をなしていった。もちろん天皇の男性性を強調する時期と、存在そのものを中性化していく時期が交互にあり、一概に男性化のベクトルだけで戦前の天皇像が表象されていたわけではありません。いずれにせよ、マスキュリンな天皇制とマスキュリンな西欧は対なのですが、アメリカの場合、大衆文化がきわめて重要で、そこのところはむしろ国家的な男性性からすると、女性的な消費の世界として受け止められていたと思うのです。しかし、そのアメリカにしても、太平洋を挟んだ軍事的ライバルであるとも日本側から意識されていたから、単純に女性的なイメージというわけでもなかった。
 (p.90)

 という発言を読んだからというわけでなく、ずいぶん前から楽しみにしていた本がbk1からようやく届いた。
●伊藤るり他編『モダンガールと植民地的近代-東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』(岩波書店)

 あと1冊は『sumus 13』に詳細されていたもの。これは「日本の古本屋」経由で。
●ピエール・ガスカール『街の草』(晶文社)
by sarutasensei | 2010-03-01 21:25 | 買った本