アカコの備忘録。


by sarutasensei
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「無能の人」。

 昨日、引用文とはいえ、「罪を罪として認識することのできる能力」と書いた。アカコの大嫌いな言葉、「能力」。ペッペッ!こんな気色悪い言葉を躊躇なく使える神経が、アカコには分からないよ。
 「能力に応じた格差」とか、「能力主義」なんて言い回しが、そこらへんにあふれているけれど、ここでいう「能力」って、そもそも誰にとっての、どのような「能力」なのかが問われることは、ほとんどないのではないか。チマタのヒトビトは、一生懸命に「能力」を身につけようとして、満員の通勤電車に揺られながら英語の勉強をしたり、あれこれ資格をとろうとしたりと涙ぐましい努力をしているみたいだけど、そんなことで、本当に報われるんだろうか?まあ、報われない人が皆無だ、とまでは言えないだろうけど。ゴクロウサマ。
 
 でも今のニッポン社会で求められる最も重要な「能力」とは、おそらくそんなテクニカルなものよりも、「上」の者が言うことを、たとえそれが不当に思えても、コトを荒立てることなく、抑圧を「下」に移譲することで穏便に対処する「能力」のことではないのか。多くの企業で重視される「協調性」って、つまりはそういうことだよね。もっと分かりやすく言えば、アイヒマンのような「能力」/「態度」こそが、最も「有能」だということだろう。そう言う意味では、21世紀のニッポンって、ナチスとそんなに遠くない社会なんだと思う。問題をラディカルに(根本的に/過激に)考えたり、「問い」そのものを組み替えたりする「能力」は、この社会では決して求められはしない。
 被判定者の「能力」を測定し、評価づけるのは、一般的には彼らより「上」に位置する者だろう。「上」の者が下す評価に不満を抱くことは(しばしば)あるにせよ、「能力」/「態度」は測定可能であり、その結果によって被判定者の処遇を左右するのは当然だ、という「常識」は、判定者・被判定者双方に共有されている。
 
 だったらコトは明確だ。アイヒマン的な「有能さ」を目指すのか、「無能の人」を選ぶか、だ。アカコもこの商売ができなくなったら、石でも売って生計を維持したいけど…難しいだろうなあ。
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by sarutasensei | 2006-08-04 20:20 | 筆記

チリモツモレバ。

●野上弥生子『欧米の旅(全3冊)』(岩波文庫)
●女性労働問題研究会編『女性労働研究No.50 貧困と疲弊』(青木書店)
●黄晳暎『武器の影(上・下)』(岩波書店)

※黄晳暎はAMP、ほかは大学生協で購入。野上弥生子は、夏に書く論文で使うので。岡真理の『棗椰子の木陰で』では、「まぎれもない「帝国の女」」なんて指摘されていたな。
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by sarutasensei | 2006-08-03 22:34 | 買った本
f0091834_20181863.jpg●文富軾『失われた記憶を求めて-狂気の時代を考える』(現代企画室)

※著者の文富軾は1982年に釜山アメリカ文化院への放火事件を起こした首謀者。戦後韓国の「記憶」をめぐる論考は、とても示唆に富む。
 1980年の光州虐殺事件は、20年後には金大中大統領によって、歴史の犠牲者だと認定された。だが文富軾は、その時に殺された光州の市民も、軍部の命令に従い彼らに発砲した空挺隊員も、「全員歴史の被害者だということば」(p.162)に「巨大な嘘」を見出す。
いま自ら「暴力なき国家」を自認する「国民の政府」が、積極的に光州を記念し物質的に補償した。これによって一時代のスケープゴートだった光州の死は、その無念さを捨て去って聖なるものとなったのだろうか。あるいは、フランスの思想家ルネ・ジラールが明らかにしたように「聖化」は暴力を隠すための祭儀の形式にすぎないのか。私たちもまたこれに賛同することによって沈黙のうちに共犯者となるのではないか。(p.162)

 靖国をめぐる、あまりにも低レベルな議論を見聞きするにつけ、単に隣国のオハナシだと気軽に読み飛ばすことはできない本だ。
今も私たちからそれほど遠くない場所で何事もなかったかのように暮らしているこの殺人者たちにとっては、何よりも罪意識自体、あるいは罪を罪として認識することのできる能力自体がないのではないかと疑ってみなければならないのではないだろうか(p.223)。

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by sarutasensei | 2006-08-03 20:19 | 読んだ本
●瀬尾育生『戦争詩論1910-1945』(平凡社)

※朝、起きあがることもできないほど、ひどい寝違え。明け方のあまりの暑さのせいで、むちゃくちゃな寝相だったせいかも。車をバックさせるとき、斜め後ろを見ようとすると激痛が走る。
 AMPで到着。新刊では、アカコのまわりの本屋では、まだ見たことないぞ、この本。
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by sarutasensei | 2006-08-02 22:55 | 買った本

近くの古本屋で。

●奥野健男編集『永山一郎全集』(冬樹社)

※大川渉編『短篇礼賛-忘れられた名品』の中に収録されている、永山一郎の「皮癬蜱の唄」がとてもおもしろくて、もっと彼の作品が読みたくなった。古書の検索サイトで調べたところ、大学近くのなじみの古本屋で、冬樹社版の全集が格安で出品されていることに気がつく。灯台もと暗しって、このことか?
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by sarutasensei | 2006-08-01 21:47 | 買った本

一気に読んだ本。

f0091834_2594561.jpg●黄晳暎『客人(ソンニム)』 (岩波書店)

※1950年10月、朝鮮戦争のただ中、北朝鮮のある村で発生した住民相互の虐殺事件を題材にした作品。多くの死者・加害者が作中に登場し、事件や自らの死、記憶を語るポリフォニックな構造になっている。それにしてもamazonのカスタマーレビューに、「日本人の幸運さと朝鮮人の不運の歴史」って書いてる人がいるけど、なんともお気楽な感想文ですねえ。「幸運」なニッポンジンで良かったね。
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by sarutasensei | 2006-08-01 03:07 | 読んだ本