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アカコの備忘録。


by sarutasensei
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「支配の代償」としての帝国意識。

「支配の代償」としての帝国意識。_f0091834_21245912.jpg●木畑洋一『イギリス帝国と帝国主義-比較と関係の視座』(有志舎)

※「帝国意識」っていう概念をアカコが学んだのは、20年以上前に出たこの著者の『支配の代償』から。そう、植民者の末裔にとって、帝国意識って、いまだに完済できずにいる支配の「代償」にほかならないんだよね。
 今回の本は、イギリス帝国史を日本のそれと対比させながら論じたもので、台湾研究という角度からも読みどころ満載。

 そのなかでもアカコにとっては、江口朴郎の日本帝国主義論について言及した箇所が、とりわけ興味深かった。
 江口によれば、日本帝国主義が世界体制としての帝国主義の存在を前提としていたのと表裏一体の関係で、世界体制としての大国主義は、日本のようなアジアにおいて民族を抑圧している存在がなければ、そもそも成立しなかった。日本のようにアジアで軍事力をもち、他民族抑圧に乗り出している存在があってこそ、全体としての帝国主義がありえたのである。(p.113)
 学生時代、アカコも江口朴郎は読んでたはずなのに、こんな貴重な指摘には気がつかなかった。さっそくampで江口の本を何冊か注文。

 もうひとつ、おもしろかったのは、第二次世界大戦で、英米首脳が発した「大西洋憲章」について、「そもそも戦争の初期に戦争目的を闡明にするということは、第一次大戦の場合には考えられなかったことである」と述べている部分(p.173)。このへん、まだ読み終わっていない子安宣邦の新刊の内容とも、密接に絡んでくるので。
by sarutasensei | 2008-07-11 21:47 | 読んだ本