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アカコの備忘録。


by sarutasensei
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ぜんぜん知らんかった~。

ぜんぜん知らんかった~。_f0091834_12544686.jpg●笹川裕史他『銃後の中国社会-日中戦争下の総動員と農村』(岩波書店)

※おもしろいです、この本。ていうか、アカコがぜんぜん知らなかったことばかりで。

 日中戦争という「総力戦」を戦うにあたって、日本ほど「国民化」されていなかった中国の農村で、なにが起こったのかを、中国側の膨大な史料をもとに分析したもの。簡単にまとめると、こんなふうかな。
 社会もまた、同時期の日本のように、ナショナリズム(ここでは国民意識)によって強く縛られてはいなかった。ナショナリズムは、直接には教育とマスコミによってかきたてられる。経済的に遅れた中国、とりわけ奥地農村では、この教育とマスコミの普及もまた、きわめて不十分であった。沿海部から遠い四川省にあっては、敵の日本軍も身近な、眼に見える存在ではない。そのような状況では、国家の危機を救うために生命を捧げるのは当然だという論理は、実質的には少数のインテリにしか通用しなかったのである。だから、兵営から逃げ帰った人間が、日本のように「非国民」だとみなされることはなかった。というより、「非国民」という概念自体が、社会的に形成されていなかったといえよう。(pp.114-115)

by sarutasensei | 2007-07-31 21:13 | 読んだ本