国民を創ること。ベタベタの愛国/軍国物語。
2006年 09月 19日
●デ・アミーチス『クオレ(上・下)』(岩波少年文庫)
※1870年のイタリア統一後、「イタリア国民」を想像/創造するために創作されたオハナシ。有名な「母をたずねて三千里」も入っているけど、ここまで愛国心や軍事的な題材が強調されているとはね。「外国を攻めることを夢みていた」「カヴール伯爵」に、「栄えあれ!」なんて言葉が投げかけられてるし(下巻p.65)。
「カルピス劇場」のけなげなマルコも、こんな文脈のなかにいたんだね。
もともと岩波文庫で戦前に出ていたようだけど、その時代の受容のされかたが気になるな。当時の訳者の「解説」を読んでみたい。
戦後に少年文庫に収録するときに、訳者も気になったと見えて、1955年の「あとがき」では、「とはいっても、軍隊のことなど、この本の全体からいえば、何パーセントにもなってはいません」と弁解しながら、「子どもの教育のこと、学校と家庭との関係、教師と生徒との関係、親子きょうだいのこと、労働者と紳士階級とのこと、国民精神、愛国心」を「愛情のこもった筆で」描いたのだと述べている。
描かれた「子どもの教育のこと、学校と家庭との関係(略)」が、「国民精神、愛国心」と骨がらみで一体化している点が、アカコには気色悪いんだけど。1955年の時点で、岩波的な価値観からすれば、「国民精神、愛国心」は何ら否定すべきものではなかったんだろうね。
※1870年のイタリア統一後、「イタリア国民」を想像/創造するために創作されたオハナシ。有名な「母をたずねて三千里」も入っているけど、ここまで愛国心や軍事的な題材が強調されているとはね。「外国を攻めることを夢みていた」「カヴール伯爵」に、「栄えあれ!」なんて言葉が投げかけられてるし(下巻p.65)。
「カルピス劇場」のけなげなマルコも、こんな文脈のなかにいたんだね。
もともと岩波文庫で戦前に出ていたようだけど、その時代の受容のされかたが気になるな。当時の訳者の「解説」を読んでみたい。
戦後に少年文庫に収録するときに、訳者も気になったと見えて、1955年の「あとがき」では、「とはいっても、軍隊のことなど、この本の全体からいえば、何パーセントにもなってはいません」と弁解しながら、「子どもの教育のこと、学校と家庭との関係、教師と生徒との関係、親子きょうだいのこと、労働者と紳士階級とのこと、国民精神、愛国心」を「愛情のこもった筆で」描いたのだと述べている。
描かれた「子どもの教育のこと、学校と家庭との関係(略)」が、「国民精神、愛国心」と骨がらみで一体化している点が、アカコには気色悪いんだけど。1955年の時点で、岩波的な価値観からすれば、「国民精神、愛国心」は何ら否定すべきものではなかったんだろうね。
by sarutasensei
| 2006-09-19 21:22
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