熱帯と体質変化。
2009年 07月 02日
●川村湊編『中島敦 父から子への南洋だより』(集英社)
中島敦ものの続き。1941年7月8日の妻への手紙にこんな一節があった。
ampで文庫を1冊。
●ロジェ・カイヨワ『聖なるものの社会学』(ちくま学芸文庫)
中島敦ものの続き。1941年7月8日の妻への手紙にこんな一節があった。
この島は官舎だらけだ。小さな官舎が沢山ある。芝(とても、コマカイきれいな芝)でかこまれヒビスカスやカンナやパパイヤの植わつてゐる官舎を見ると、お前達をよびたくなるが、しかし、之はよつぽど考へてみなければならぬことだと思ふ。こちらで育つた幼児は大抵、島民に似た容貌をしてゐるんだよ。確かに。色の黒いのは仕方が無いとしても。目がドングリ眼で髪がちぢれて、唇が厚いんだ。頭も島民の子に近いんぢやないかと思ふ。
ふしぎだけれど、之は本当なんだ。ノチャボンが、そんなになつちや、僕はイヤだな。この前の手紙で書いたヤップ島の院長さんの家へ行った時、僕はそのお嬢さん(七つ)を、本当に土人の児と思つたものね。これは考へものだよ。(pp.42-43)
ampで文庫を1冊。
●ロジェ・カイヨワ『聖なるものの社会学』(ちくま学芸文庫)
by sarutasensei
| 2009-07-02 21:44
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